認知症患者の介護経験者100名にアンケート
株式会社ウェルクスは、2016年2月3日(水)に認知症患者の介護経験者100名を対象としたアンケート調査を実施した。
背景
2007年、愛知県で認知症患者の男性が徘徊中に列車にはねられ死亡するという事故が発生した。
JR東海は、この事故による損害賠償を遺族である男性の妻(93歳)に請求、最高裁での判決を3月に控えている。
そこで、認知症の情報サイト「認知症ONLINE」を運営する同社では、認知症患者が起こした事故について介護家族がどこまで責任を持つべきなのかアンケートを行った。
「家族が賠償すべきでない」が多数
第2審で「徘徊中の事故で発生した賠償金を介護家族が支払うべき」という判決が下されたことに対する賛否を聞いたところ、「反対(賠償すべきでない)」が71%だったのに対し、「賛成(賠償すべき)」は8%と少数であった。
反対派の意見としては、「徘徊によりこのような事故を起こしてしまうことは予測不確定」「老老介護という生活環境で見守りが行き届かない状況にいる人に賠償責任を問うのは道理に反する」などの意見が。
一方賛成派からは、「ある程度の割合の賠償責任はある。家族だけでなく国や自治体の援助、地域社会での情報共有や協力が必要」といった意見が挙がった。
妥当だと思う賠償方法は
「認知症患者を介護する家族の監督責任」については、「監督責任あり」との回答が65%、「監督責任なし」との回答は17%という結果となった。
今後同様な事故が発生した場合の賠償方法について聞いたところ、最も多かったのは「国、公的救済制度の創設」で80%、2位は「民間保険制度の拡充」で59%。「家族介護、親族が賠償する」は10%、「鉄道会社が賠償する」は3%と少数であった。
同サイトではこの結果を受けて以下の様にコメントしている。
「認知症になっても安心して暮らせる地域づくり」は、国家戦略の一つである新オレンジプランでも重要テーマとして掲げられています。今回の一件で、徘徊行動 のある認知症の人を、家の外に出さないように閉じ込めたり、体を縛ったりすることが当たり前になってしまっては、本末転倒です。徘徊行動のある認知症の人 を、社会全体でどのように見守り安全を確保するのか、という方向性を考慮した、最高裁の議論が進行してほしいと願います。
(「認知症ONLINE」より引用)

株式会社ウェルクスのプレスリリース
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/【調査結果】介護経験者70%が反対|認知症徘徊で起きた事故、家族は賠償責任を負うべきか
http://ninchisho-online.com/archives/15404/