支援の必要な高齢者へ福祉が行き届いていない課題
公益社団法人全国老人福祉施設協議会は、2019年度の被措置者数等に関する調査の結果を公表した。
同協議会は、全国の養護老人ホームをはじめとする高齢者介護施設・事業所が加盟する公益社団法人だ。同調査は、会員非会員問わず全国すべての養護老人ホーム951施設を対象に実施し、08施設から回答を得た。回答率は前年度調査の93.7%から95.5%へ上昇している。
なお、養護老人ホームとは、子どもから暴力や経済的虐待を受けている、あるいは精神障害を持つ等、現在置かれている環境では生活が難しく、経済的にも問題を抱えている65歳以上の高齢者が、市区町村長の措置によって入所できる施設だ。
一方で、地方分権と三位一体改革により、権限と財源が市区町村へ移譲されたため、福祉的支援を必要としているにもかかわらず措置される入所者が少なくなる、いわゆる「措置控え」といわれる課題がある。
主な調査結果の概要
措置者数がゼロだった市区町村は1割で、措置しない市区町村の顕在化がうかがえる。
市区町村の措置状況を、措置者数を65歳以上人口で除した「措置率」でみると、養護老人ホームが所在する市区町村では平均措置率が2.44%である一方で、養護老人ホームが所在しない市区町村では1.04%である。養護老人ホームが所在しているかしていないかで、措置の状況に大きな格差があることが分かる。
入所率の全国平均は89.9%で、前年度調査の90.0%から0.1%減であった。なお、全国で63,000余りの定員数であることから、6,000以上の空きがあることになる。
2019年10月に消費税率が10%へ改定されたが、約半数の市町村では、5%に据え置かれたままである。
(画像はプレスリリースより)

全国老人福祉施設協議会 プレスリリース(PRTIMES)
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