大都市でも増える買い物難民
買い物難民と聞けば、山奥の過疎地域を連想する人が多いだろう。そのため、大都会では無用の心配と思われるかもしれないが、意外にも都市部や住宅街でも「買い物難民問題」は深刻だ。生鮮食料品店までの距離が遠く毎日の食事に困る買い物難民は、東京、名古屋、大阪の三大都市圏でもなんと推計140万人にものぼるという。
ちなみに、65歳以上の人が気軽に歩いて買い物に行ける距離は個人差があるものの、往復約1キロが限界とされている。生鮮食料品店まで直線で往復1キロ以上あるのに自家用車のない65歳以上の人は、農林水産省農林水産政策研究所が8月に発表した推計では、全国で350万人いる。足腰の悪い人にとって、移動手段がないことや、移動に時間がかかるのは深刻な問題だ。
ビル街で青空市
深刻化しているこの問題に取り組む試みがある。NPOが東京都千代田区の一角で、ほぼ毎年1回開いている「ちよだ青空市」だ。
買い物に困っている人たちを救おうと団地自治区会が2年半前に朝市を始めたのがきっかけで、その名の通り露天で、野菜などの生鮮食品を販売している。
主催団体代表の大塚洋一郎さんは「農村と都市の連携を深めようと昨秋に始めた。収支はまだよくないが、定着させたい」と今後の活動に向けて熱意を表した。
なお、農林水産省農林水産政策研究所の専門家らによると、こうした試みは老人が自立した生活を保ったり、様々な食物が摂取可能になるため、老化防止に役立つなどの好影響があるという。
「ちよだ青空市の企画・運営」