NTT東日本が介護現場でAI実証を実施
東日本電信電話株式会社(以下、NTT東日本)は3月28日、新潟県上越市の介護事業所において、生成AIを活用した業務効率化の実証を実施し、作業時間を56%削減したと発表した。
本検証は、上越5e協議会および株式会社丸互(以下、丸互)との協業により行われたものである。
AI技術を介護現場に導入することで、慢性的な人手不足の解消と業務負担の軽減を目指しており、2024年8月から2025年3月までの期間にわたり、複数の事業所にて実証を行った。
なお、上越5e協議会は、行政・企業・教育機関などが連携し、ITを活用した地域課題の解決と生活の質の向上を目指す地域団体である。
また、今回活用されたAIは、NTTが開発した大規模言語モデル「tsuzumi」。実証を通じて、専門性の高い介護用語にも適切に対応できる記録支援モデルの構築を目指した。
生成AI導入に際しては、個人情報保護や誤認識への対処が重要であるが、tsuzumiは軽量なサーバ環境で動作可能であり、機微な情報をセキュアに扱えるという利点も評価された。
音声入力による介護記録で作業時間を大幅削減
実証では、介護士がパソコンに記録内容を音声入力し、tsuzumiがそれを文字化・分類する仕組みを用いた。これにより、介護記録(例:食事・排泄・入浴など)が自動的に登録される。
これまで、記録作業は手入力により1人あたり1日40分を要していたが、音声入力を活用することで17分に短縮され、56%の業務効率化を実現した。また、tsuzumiによる音声認識と記録分類の正答率は78%に達したという。
今後は、丸互が他システムと連携可能なAPIを開発し、商用化を視野に共創を進める。NTT東日本も正答率向上に向けた改善を続け、スマートデバイス化やフリーハンド入力の実現を目指す。
(画像はプレスリリースより)

東日本電信電話株式会社のプレスリリース
https://www.ntt-east.co.jp/release/detail/2020328_01.html