2015年に実用化予定
パナソニック株式会社は今まで長時間かかっていた補聴器調整の負担が軽減される技術を開発しました。耳にする音量の検査音を聞いたときの脳波の変化パターンから、最大音量を推定するという技術です。今後本開発により臨床評価実験の結果を基に2015年に補聴器の音量自動調整システムとして実用化予定です。
不快な音量調整を軽減
難聴者の聴覚特性には個人差があり検査で得られた下限値より計算で求められていましたが、個人差による誤差が大きく含まれていました。この誤差を含んだ上限値を使って、初期の音量調整を行うと、補聴器の利用者は強大で不快な音を聞かされたり、また最適な音量になるまで時間がかかり大きな負担がかかっていました。
開発の特長と内容
特長
1.独自開発の検査音を聞いたときの脳波の変化パターンから、許容できる音量の上限値を高精度に推定(誤差±5dB以下:耳鼻科で使う一般的な聴覚検査装置の最小目盛と同じ)。
2.独自開発の検査音により、短時間(5分程度)での検査を実現。
3.検査音は日常的に耳にするレベルの音量であるため、検査における負担を軽減。
新規技術
(1)独自開発の検査音(1秒間に数回発する大きさの異なる純音)に対する脳波の変化パターンを分析し、許容できる音量の上限値を高精度に推定する脳波分析技術。
(2)脳の反応が同一刺激に慣れないように、検査音の周波数を変化させる最適刺激技術。
時代のニーズに答えて
補聴器を必要とする難聴者は高齢化により、毎年増加しています。ただ、補聴器の音量調整には特に上限値において不快になる大きな音を出して測定する必要があります。
そのため、各個人に合った適切な補聴器の音量調整が困難でした。本開発により、個人が許容できる音量の上限値を、日常的に耳にする音量の検査音に対する脳波の分析により短時間でできて、ストレス・疲労を与えることなく音量調整が可能となります。
なお、本技術の有効性を検証するため、福井大学医学部と共同で、補聴器の利用者に対する臨床評価を、2011年11月より開始しました。また、本開発の一部は、第41回日本臨床神経生理学会で発表しました。

Panasonic
http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn111128-4/jn111128-4.html