「リビング・ウィル」の認知度約2割
社団法人全日本病院協会(東京都千代田区)の調査によると、生前に尊厳死の意思表示をする「リビング・ウィル」について患者の家族について聞いたところ、全体8割以上が「知らない」と回答していたことが明らかになりました。 ホームページ上で公表された「終末期の対応と理想の看取りに関する実態把握及びガイドライン等のあり方の調査研究」に関する報告書によりわかりました。
アンケート調査は終末期の対応と看取りの実態を把握するため行われ、昨年7月から10月にかけて、全国の病院、介護老人福祉施設、グループホームなど計7184施設と、その職員や患者の家族に対して調査票を送付する方式で行われました。
低い「リビング・ウィル」の認知度と、最期を迎えたい場所のズレ
調査結果によると、患者の家族のリビング・ウィルの認知度は「聞いたことがなかった」との回答が約7割を占め、聞いたことがある人のうちでも意味を理解していない人が全体の17%いました。二つの回答をあわせると、全体で8割以上の人が「リビング・ウィル」を知らなかったことになります。
また、患者の家族に対し「家族から見て本人はどこで最期を迎えたいと望んでいると思いますか」という設問に対して、患者が病院や老人ホームなどいずれの施設に入っている場合でも「自宅」という回答が最も多く選ばれました。患者本人へ尋ねた場合も「自宅」が最多でしたが、患者が病院や施設に入っている場合、現在の場所で最期を迎えることを希望している人も約4割いました。しかし実際には病院で死亡する割合が最も高くなっています。
報告書では「リビング・ウィル」について、介護施設などで
「すでに行われている情報提供や意思確認の仕組みを活用してリビング・ウィルを普及していくことで、一般の人々への認知度が高まると考えられる」
としています。

社団法人 全日本病院協会
http://www.ajha.or.jp/「終末期の対応と理想の看取りに関する実態把握及びガイドライン等のあり方の調査研究」(全日本病院協会)
http://www.ajha.or.jp/voice/pdf/other/120412_1.pdf